書道家・石田萬世による「伊賀と都島の楽しみ方」

伊賀市在住の書道家による伊賀市と大阪府都島の紹介ブログ

なぜミスタードーナツの競合が、「ニトリと百均とスマホ」なのか?

こんにちは。日本書道芸術院の理事・審査員の石田 萬世(@bansei_info)です。
競合相手が必ずしも同業他社とは限らないという話をしようと思います。私も書道教室を運営しているのですが、考えさせられる内容でした。
jmty.jp
マネー現代の記事です。

そもそも往年のミスタードーナツの勢いとはなんだったのか、最近の若い方が知らないミスタードーナツの黄金時代の話をしてみましょう。

ミスタードーナツの黄金時代とは何といっても1980年代後半の消費文化が華やかしき時代でした。

糸井重里が考案した西武百貨店の「おいしい生活」というキャッチコピーが世の中に浸透し、若者はポパイやオリーブといった雑誌を片手に街を闊歩する。学生の住居もアパートからワンルームマンションに変わり、そこに雑誌で見つけたちょっとおしゃれな家具やグッズを並べるのが典型的な若者の暮らしぶりでした。

今のようなデフレ時代ではなく、ちょっと高くてもいいものを買うという消費行動が支配的な時代。それはまさにバブル時代の始まりを告げる楽しい時代でした。この時期にミスタードーナツの大ヒット商品になったのがラッキーカード。スクラッチを削って出てきた点数を集めると人気の原田治さんのイラストがデザインされた生活グッズが手に入るあのキャンペーン商品でした。

そうなのです。ミスタードーナツの最盛期を作ったのはフレンチクルーラーやチョコファッションやポン・デ・リングといった現在定番となっているドーナツ製品以上に、ミスタードーナツで配布されていたおまけのグッズだったのです。

この時期、広告代理店の間ではこのラッキーカードのキャンペーンは超有名で、当時の他社の広告や販促のキャンペーンと比較してグッズの発注量が群を抜いて多かったことで知られています。何しろ抽選で当たるのではなくてドーナツを購入して地道にラッキーカードを集めれば必ずグッズがもらえるのです。

ドーナツそのものよりも、景品の(おしゃれな)生活グッズが、当時の消費スタイルに合致していたのだそうです。

しかし、時代が流れるにつれ、「おしゃれな生活グッズ」は世の中に溢れかえり、安価に販売されるようになったことで、ミスタードーナツの景品の価値は相対的に下がってしまったと言います。

おそらくこの時期、全国のケーキ屋さんがミスタードーナツを最大の競争相手だと考えていたことでしょう。ちなみにこの時代、まだコンビニスイーツは今のようには発展しておらず、スイーツはケーキ屋さんで買う、そんな時代でした。

そのラッキーカードの魔力が薄れてきたのが90年代の終わりごろ。時代はデフレの様相を呈し始め、おいしい生活は時代遅れになってきました。ミスタードーナツで配られていたパステルカラーのグッズもなんとなく子どもっぽく見えるようになっていき、次第にグッズの魅力が薄まっていきます。

今にして思えばなぜおしゃれなグッズの魅力がこの時期に減ってきたのかといえば、この時代を境に、世の中におしゃれで安価な生活グッズがあふれるようになってきたからです。その象徴がお値段以上のニトリの全国展開と、ダイソー、キャンドゥ、セリアなど百均の商品のクオリティが格段に進化したことでした。

そうなのです。ミスタードーナツ原田治グッズが大ヒットした背景には、そのようなクオリティのグッズが当時、東急ハンズやロフトで1500円ぐらいで売られていた生活グッズと同じぐらいのクオリティだったから。ところがそのレベルの商品は2000年代に入ってニトリで数百円で、ないしはキャンドゥで百円で手に入るようになったことで、わざわざドーナツを三千円分購入してまで欲しいものではなくなってしまったのです。

ミスタードーナツの人気を支えていたのが「生活グッズ」。よって、それをより安価に販売する。ニトリや百均が以外な競合相手になったのでした。

さらに、スマホ中心のライフスタイルが、ドーナツの需要を下げてしまったとのこと。

アメリカではもうひとつ、朝、出勤をする際に売れる商品があります。それがドーナツでした。忙しいニューヨークでは片手にコーヒー、もう片手にドーナツを持ち、それを交互に口に入れ歩きながらストリートを歩くスタイルが定番。だったらセブンカフェの隣にドーナツを置けばきっと売れるだろうという目論みでした。

ところがここで落とし穴がありました。当のニューヨークでこのニューヨークスタイルはすでに時代遅れになりつつあったのです。理由はスマホです。片手にコーヒー、でももう片手にはスマートフォンを持っている顧客は、ニューヨークではすでにドーナツを手に持つスペースがなくなっていたのです。
(中略)
最近はドーナツの人気があまりよくない。理由は指先が汚れるからです。ドーナツを食べながらだと指先が油っぽくなってスマホの動作に支障をきたす。実はドーナツだけでなくそういったスナック類は、スマホ時代にはいってから同時に売上を下げはじめています。有名どころでは明治のカールや森永のチョコフレークが生産をやめたのもスマホが原因だったのではないかと言われています。

せっかくドーナツおいしいのに、生活雑貨の相場の変化と、スマホの普及で売れなくなってしまうとは。1つの分野ばかり見ているといけないのだということを実感します。

最近のミスタードーナツは、コンビニの「◯◯プレミアム」的な、ちょっとした贅沢感のある商品をよく出しているような印象です。
近所のミスタードーナツが潰れて携帯販売ショップになったのですが、この記事を読むとすごく象徴的な事象に感じます。

参考サイト:
ミスタードーナツの競合が、実は「ニトリと百均とスマホ」であるワケ(鈴木 貴博) | マネー現代 | 講談社(1/3) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58658
大阪府都島区の書道教室情報】
都島区 内代福祉会館老人憩の家
https://jmty.jp/osaka/les-jpn/article-a1db3
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伊賀市 ゆめポリスセンター教室
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【講師】
日本書道芸術院 理事・審査員
石田 萬世(いしだ ばんせい)